はじめに
今回は、サピックス、早稲田アカデミー、エルカミノが実施した「2026年度入試報告会」を聞いた内容と、浜学園、日能研からもらった2026年度入試の情報をまとめてみました。
これまでも多くの受験情報でいわれているように、特に難関校では「知識の暗記だけでは通用しない、物事の本質的な理解と、初見問題にどう向き合うか」が問われてるということを再認識できました。これからのどのような力を身につけ、日々の学習にどう向き合うべきかも含めて考えていきたいと思います。
2026年入試の全体概況と受験生の動向
受験率の高止まりと「サンデーショック」
首都圏(1都3県)の受験率は約15.0%と高水準を維持し、実受験者数は6年連続で5万人を超え、少子化の中でも中学受験の減っていません。今年は2月1日が日曜日となる「サンデーショック」により、女子学院や東洋英和女学院、立教女学院などプロテスタント系女子校が入試日を2月2日に変更したことで、女子を中心に併願パターンに大きな変化がありました。

サンデーショックは男子校には関係ないのでスルーですね。



ちなみに次のサンデーショックは2032年で次男の受験年度ですが、男子なのでこちらもスルー。
午後入試の一般化と変わらない最難関校の難易度
午後入試の受験率はますます高まり、女子の約7割、男子の約6割が2月1日午後に受験しており、午後受験は一般的なものとなっています。



直近のトピックスとして、城北が2027年度より、2月1日午後の算数1教科入試の開始を決定しました


難関校の受験者数で言うと、例えば麻布の出願者数が過去最少レベルの750人に減ってはいますが、問題が易化するわけではなく、実質的な競争の厳しさは変わりません。「受験者は最難関校を避ける傾向があるが、本当に最難関校に行きたいトップ層の生徒はは減っていないので、合格難易度は全く下がっていない」ことは今回の報告会に限らずよく言われていることという印象です。見かけの倍率に惑わされず、着実な実力をつけることが求められます。
具体的な勉強方法を考える
算数:典型題の「運用力」と「進化・深化」への対応
2026年の算数は、「深化」と「進化」が顕著でした。一見典型題に見えても、自らグラフを描かせる問題(開成大問1など)や、空間図形の高度な切断や重ね合わせ(慶應普通部、豊島岡女子学園など)といった、本質的な理解を問う出題が合否を分けました。また、問題文中にヒント(ガイド)が提示され、それに従って試行錯誤や調べ上げを行う力が求められるのも近年のトレンドです。



(1)を使って(2)以降を考えていく、というやり方ですね。
- 基本の徹底: まずは標準テキストの典型問題を理解し、見た瞬間に解法が浮かぶレベルまで習熟させましょう。正解した問題でも、必ず解説を読み込み「もっと短い時間・短い手順(最短ルート)で解ける方法はないか」を検討し、吸収する習慣が処理能力を高めます。
- 情報の可視化と「試行錯誤」の訓練: 難関校対策ではパターン学習を繰り返すだけでは不十分で、常に頭の中で思考を繰り返すスタイルが有利に働きます。難しい問題に直面してもすぐに投げ出さず、手を動かして図や表、ダイヤグラムを描き、条件を整理する「泥臭い作業」を日常の学習に取り入れてください。



これはまさにエルカミノがやっていることです。エルカミノは「算数の難化はエルカミノに有利」と言っていました。
■ 国語:「量」から「質」へ。大人の視点と深い想像力
国語は、テーマの抽象化がさらに進みました。池田喬氏の『「嘘をつく」とはどういうことか』など、哲学的な文章の出題が相次ぎました。また、戦後80年や災害などを背景に、「惨禍をどう語り継ぐか」といった、現代を生きる視点からの想像力を求める文章も急増しています(灘中の詩、開成の沖縄の文章など)。複数の文章を用いた問題や、生徒の会話形式を取り入れた情報整理問題など、出題形式も多様化しています。



ここ数年国語の長文化傾向が顕著でしたが、今年は文字数が減って「より深く読ませる傾向になった」ということが複数の報告会で言われていました。
【具体的な勉強方法】
- 音読による「読む力」の土台作り: 長文を速く正確に処理するために、日頃から音読のトレーニングを繰り返しましょう。「1分間1000文字」が難関校で求められるスピードです。
- 大人の常識・背景知識の涵養: 「大人の文章」を読みこなすには、日常的な教養が不可欠です。ニュースや社会の出来事について、ご家庭で「大人の視点や経験」をたくさん話しましょう。
- 記述の「型」と選択肢の「吟味」: 記述問題では、「できごと+心情語」などの基本の型を意識し、設問の意図(問いの核心)を見抜いて、字数制限内でポイントを端的にまとめる訓練を重ねましょう。また、長文の記号選択問題は、選択肢をパーツ分けし、本文と丁寧に照合する緻密な作業を身につけてください。
■ 理科:日常への知的好奇心とデータを読み解く論理的思考力
物理・化学・地学・生物の4分野からバランスよく出題され、苦手単元を作らないことが大前提です。時事問題として「皆既月食」や「記録的猛暑」「地震」「ノーベル賞」が多くの学校で出題されました。さらに、市川中のドローンの動きや、聖光学院のキャベツの葉のつき方など、日常の事象から科学的法則を考えさせるユニークな問題が目立ちました。暗記だけでは解けない初見のデータに対し、現場で条件を整理する力が問われています。
【具体的な勉強方法】
- 「なぜ?」を深掘りする原理原則の理解: 用語の暗記にとどまらず、「なぜそうなるのか」という仕組みをセットで理解しましょう。公式に当てはめるだけでなく、根本の理屈を説明できるようにすることが応用力に繋がります。
- データ分析・読み取りの訓練: グラフや表が与えられた際、「このデータから何が読み取れるか」を常に考え、自分なりの考察をアウトプットする練習を積み重ねてください。
- 日常の体験を実況する: 「湯冷め」や「カーブミラーの見え方」など、生活の中の理科的な事象に興味を持つことが最高の対策になります。親子で「今これを見てるよ」「なぜこうなると思う?」と対話する習慣を作りましょう。



知識問題だけで受かるのは中堅校までです。難関校では与えられたデータ(実験や図表)から論理的に考え、作問の流れに沿って解答していくことが求められています。



重箱の隅をつつくような知識を詰め込むのではなく、与えられた条件から論理的に考えていく必要があります。
■ 社会:知識の「質」と、現代社会を「自分事」として捉える力
社会では、「戦後80年」「昭和100年」といった周年問題や、「アメリカ大統領選(トランプ関税など)」「国内の選挙」などの時事問題が多数出題されました。また、インバウンドを背景とした日本文化(浮世絵など)の話題も目立ちました。「アテンション・エコノミー」などの外来語も頻出です。難問が減っている分、福澤諭吉などの基本語句の漢字ミスは致命傷になります。
【具体的な勉強方法】
- 基本用語の「漢字での」正確な定着: まずは基本用語を「漢字で」正確に書けるよう徹底してください。これが得点源であり、失点を防ぐ命綱となります。
- 地図帳と資料集の徹底活用: 単なる文字の暗記ではなく、常に地図帳を開いて「どこで起きたか」を確認し、資料集の図版や写真(衛星写真や断面図など)と結びつけて視覚的に理解する習慣をつけましょう。
- 時事問題へのアンテナと論理的説明力: 日常のニュース(物価高、環境問題、国際情勢など)をご家庭で共有し、「なぜ関税を上げるのか」「自分ならどうするか」を話し合ってください。それを自分の言葉で説明(記述)する訓練が、社会の思考力を飛躍的に高めます。



社会も理科と同じで、知識問題だけで受かるのは中堅校までです。与えられたデータ(地図や事象)から論理的に考え、作問の流れに沿って解答していくことが求められています。



理科も社会も基礎的な知識があることは大前提として、理科は自然科学について、社会は人文科学・社会科学について与えられたデータ、条件から論理的に考えて、作者が作った問題の意図を汲み取りながら解答してくことがキーになりそうです。
まとめ、全体を通して
■ 「ボーダレス化」と基礎の徹底
難関校から中堅校まで、求められる要求水準が上がり、入試の「ボーダレス化」が進んでいます。志望校特化の特殊な対策に焦る前に、まずは全般的な「基礎学力」を極めることが、結果として最大の武器になります。
■ 効率主義からの脱却と「試行錯誤」
テクニックや暗記術だけで対応できません。一発で答えが出なくても、とにかく手を動かして、ダメならやり直すという試行錯誤こそが、本当の思考力を育てます。
■ 親子の関わり方:心に「余白」を持つ
「ミスをしてはいけない」「~すべき」という100%を求めるプレッシャーは親子の硬直を招きます。やるべきことを適切に絞り、「~できたらいいな」という心の「余白」を持つことが、本番でお子様が実力を発揮する最大の鍵となります。


